百日後に日舞の名取試験を受ける某

日本舞踊のお稽古に励む中年がお名取試験を受けるまでの記録

【演目紹介】「松の緑」(名取試験の課題曲)

私の所属する流派のお名取試験の試験曲は、長唄「松の緑」です。

 

「松の緑」は、長唄の大家、四世杵屋六三郎が、娘・せいの名披露目を祝って作った曲で、ご祝儀曲として著名です。松の葉は何度季節が変わっても緑色であることから、栄華が続くことを象徴しており、また、歌詞には、廓の遊女になぞらえ、禿が大夫に出世するように、というくだりもあります。

手持ちの本には載っていなかったので、Webサイトで調べたところ、作成された年の元号がサイトによって違っていましたが、概ね1850年前後。時代背景は、幕末の少し前、徳川将軍は十四代家茂公の頃のようです。

日本舞踊の基本とも言われる曲で、入門後、もとい、お稽古の通い始めの最初の勉強曲として使われることもあるそうです。流派によって少しずつ振付は違えど、うちの流派で教わった振付も、難易度自体はそこまで高くなく、音の取り方もゆっくりなので、習い始めの方でも踊れるだろうなとは思います。

が、だからといって踊りが易しいかというと、また別の問題。振付が平易でも、それを踊りこなすのには、気をつけることが数多くあります。間がゆっくりな分、身体の使い方、手や足がどこをどんな速さで通るか、目線のやり方など、粗が目立ちやすいと感じます。

大好きなバレエ漫画、「絢爛たるグランドセーヌ」のワンシーンを思い出しました。

チャイコフスキーの「眠れる森の美女」第3幕の、オーロラ姫のバリエーションは、「振付は簡単だし人気だが、だからこそダンサーの技量が顕になる」演目なのだとか。

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引用元: 「絢爛たるグランドセーヌ」第12巻 pp.173-176, cuvie, 秋田書店 チャンピオンREDコミックス


松の緑にも、共通する点を感じます。

実はこの曲は、数ヶ月前にお稽古をしていただいて、振付だけは一通り覚えていました。先に振り入れだけしていただけたら、自主練しておくこともできますので〜などと言ってはみたものの、実際に間が空いて久々にお稽古をつけていただいた今日、一部振付を忘れていたり、間違った動きになっていたり。ま、まずい…。

また、久々のお稽古は、一緒に試験を受ける方と時間帯が重なったので、それぞれのお稽古を見学し合ってカンニング…と思ったら、彼女は女形、私は立役(男踊り)だったので、微妙に振付が違いました。まぁそれも、勉強になってラッキーです。

普段は忙しいお師匠ですが、今日は偶々、私達2人の後に間が空いたので、摺り足で歩く練習などもさせて頂きました。できていると思っていたけど、全然できてなかった…。中々道のりは遠そうです。

 

名取試験まで、あと99日。